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女は抱かれて刀になる
第5章 刀匠の武器
男が言い訳した瞬間、また銃声が響く。その上、今度の怒りは一度で収まらなかった。間髪入れずに、弾がなくなるまで何度も撃ったのだ。
「ひいぃっ!」
「ここが自宅でなければ、今すぐそのこめかみを撃ち抜いているところです。メモ一つ破棄出来ない娘が、あなたみたいな汚らわしい生き物を欲しがる訳がないでしょう。今すぐ立ち去り、葬式の手配をしなさい。僕は必ずあなたを、三日以内に殺します」
人の命を奪う事を、なんのためらいもない言葉。落ち着いているようで激昂した菊は、虎徹の背筋をも凍らせた。
男は下半身を丸出しにしたまま、外へと飛び出していく。すると、菊は連れてきた組員の一人に、語気を強めて命じた。
「ウチの敷地を一歩でも越えたら、その瞬間小汚い一物を撃ち抜いて殺しなさい」
「しかし、先程は三日以内と仰られたのでは……」
「嘘は吐いていないでしょう? 口答えする暇があるなら、早く後を追いなさい」
組員は息を呑むと、すぐに駆け出す。それを見送るとようやく菊は拳銃をスーツの奥にしまい、固まる虎徹の方へ振り向いた。