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女は抱かれて刀になる
第5章 刀匠の武器
「失礼しました、では話を続けましょうか」
先ほど銃を乱射した人物とは思えない、平坦な口調。それは恐ろしいが、虎徹の頭も冷静へと戻す。虎徹はすぐに和泉の元へ駆け寄り、和泉を抱き起こした。
「和泉!」
虎徹は菊が止めに入ると思っていたが、菊はただ黙って傍観している。それに不気味さは覚えたが、今は和泉の方が大事だった。
「虎徹……?」
虚ろな瞳をした和泉は、虎徹の頬に触れると唇を重ねる。和泉の涸れた体から、その瞬間再び生きた涙が零れた。
「やっぱり、虎徹だ。あったかくて、優しい……ふふ、いい夢」
「和泉、夢じゃない。俺だ、助けに来たんだ」
「うん、ありがとう。ホントに虎徹は、いつもボクのヒーローだね」
虎徹が否定しても、和泉は現実だと気付いていない。笑みこそ浮かべるが虚ろなままの瞳をどうしようかと、虎徹が悩んだ瞬間だった。
「和泉、これは現実ですよ」
銃声が、響く。先ほどとは別の拳銃の銃口放たれた弾丸は、虎徹の右腕、二の腕の肉を抉る。
「ぐあっ……!!」
銃声の余韻に、苦悶の叫びが混じる。男に汚されても白いままの和泉の肌に、虎徹の真っ赤な鮮血が飛び散った。