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女は抱かれて刀になる
第6章 明日も、あさっても
「現実って、夢と違ってわびしいね」
茶の間へ続く廊下で、和泉はふと足を止め呟く。
「キラキラしてないし神聖じゃないし、身を洗われる光なんてないし、っていうか虎徹、掃除サボってたでしょ? ホコリ落ちてるし」
和泉が何を言いたいのか今一つ分からず、虎徹は首を傾げる。だが続く言葉で、ようやく意味を悟った。
「でも、虎徹は現実でボクを捕まえに来てくれた。ボクにとって、ここがバージンロードだね」
「和泉……」
「ね、虎徹ちょっとあっちまで先に行って」
和泉は虎徹を突き当たりのドアの前まで追いやると、深呼吸する。そして右手を高く掲げると、選手宣誓でもするかのような大声で誓いの言葉を述べた。
「土方和泉は、病める時も健やかなる時も、近藤虎徹を愛し続けると誓いまーす!」
そして、歩くのではなく、虎徹の元へ駆け出す。勢いを付けて虎徹に胸に飛び込んできた和泉は、返事も待たない内に誓いのキスを交わし、その場に虎徹を押し倒した。
「お前な……どこの世界にバージンロード走ってくる花嫁がいるんだよ」
「作法なんて間違っても構わないって言ったのは、虎徹じゃん」