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女は抱かれて刀になる
第6章 明日も、あさっても
「いや、でも俺は和泉も大事で」
「ボクは一人で大丈夫だから!」
虎徹は慌てて取り繕うが、和泉の目は尖ったままである。折れずにはっきりと掛けられる言葉に、虎徹は苦い顔をして頭を掻いた。
「……本当に、大丈夫か?」
「うん。虎徹が心配してる事は、ボクも分かってるよ。けど大丈夫。もう自分が汚いとか、そういう暗い事は言わないって決めたから」
和泉は外を指差した手を下ろすと、帯を解き肌を晒す。菊や見知らぬ男に凌辱されても、それは透明感を失わず白さを保っていた。
「ねぇ、きちんと怪我治したら、またボクを打ち直して。菊さんにあげた刀みたいに、ボクを綺麗にして。虎徹がボクを鍛えてくれるうちは、きっとボクも大丈夫だから。約束、してくれる?」
和泉が小指を差し出せば、虎徹はそこに迷いなく指を絡める。そして小指だけでなく五本とも絡め全てを繋ぐと、和泉を引き寄せ、唇を重ねた。
「――誓ってやるよ。明日も明後日も、いつだって綺麗にしてやる」
体の芯が熱を持つ。瞼の裏に火花が散る。誰よりも真っ直ぐで正直な男の手は、不純を払い、新たな和泉を作り上げていた。