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女は抱かれて刀になる
第6章 明日も、あさっても
「それを判断するのは、おじい様ではありません。近藤さん自身でしょう?」
菊は目線を虎徹に向けて、返事を促す。本当ならもう顔も見たくない相手だが、その用事が和泉に関わる事ならば無視は出来ない。虎徹は老人にお辞儀すると、腰を上げた。
「色々と貴重な品を、ありがとうございます。今日は勉強になりました」
「ああ……そうか。菊、くれぐれも失礼のないようにな。虎徹先生の手は、刀剣界の未来なんだから」
「分かってますよ。では、こちらへ」
ようやく老人の自慢話から抜け出せたが、次の相手は菊である。虎徹は内心で警戒を強めながら、菊の後を追った。
玄関先に着くと、菊は置いてあったダンボール二箱をぽんと叩き、口を開く。
「和泉が自宅に置いていった荷物です。どうせもうあの家には戻らないでしょうから、気を利かせて纏めてあげました。帰るなら、それを持って行ってください」
「……何か、変なものを紛れ込ませてたりしないか? ぬいぐるみの中に盗聴器とか、カバンにGPSとか」
「気になるなら、和泉へ渡す前にそちらで勝手に調べればいいでしょう。気に食わないのなら、捨てても構いません」