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女は抱かれて刀になる
第6章 明日も、あさっても
これ以上の真実を暴くには、それこそ人生を掛けて訴えていかなければならない。だがその過程や結末が、残された人間に何をもたらすのか。それを考えると、虎徹は独断で再び扉を開く気にはなれなかった。
「そのダンボール箱、どうしたの?」
すっかりお気に入りとなった作務衣姿で玄関に出迎えた和泉は、虎徹が持つダンボール箱に首を傾げる。一文字家に着物を返しに行ったはずの虎徹が荷物を抱えて戻ってくるのは、全くの予想外だったのだ。
「お前の家にあった本を預かってきたんだ。服とかは、後日宅配便で送るってさ」
「本? にしては、多くない? ボク、こんなにいっぱい本持ってないよ」
「なんだって?」
虎徹はすぐにダンボールを下ろし、開いてみる。中身は間違いなく全て本だったが、和泉はまたまた首を傾げた。
「うん、やっぱり読んだ事ない本ばっかり」
「あの野郎、担ぎやがったな! ったく、本当性悪だなアイツ」
「あ、なんか手紙入ってる」
和泉は封のされていない真っ白な封筒を手に取ると、虎徹に手渡す。
「虎徹、先に読んでくれる? ボク、ちょっと怖いから……」