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女は抱かれて刀になる
第1章 始まりは金曜日
一休憩した後、虎徹は和泉の望み通り敷地の奥にある鍛冶場を見学させる。女が聞いてもつまらないと思っていた製作過程の説明も、和泉は素直に頷き吸収していく。満員電車での機転もそうだが、和泉は決して馬鹿ではない。虎徹はつい、女どころか男が聞いても分からないような専門的な話まで熱弁してしまった。
そして、夕方。一通り見学を終えて茶の間に戻った和泉は、虎徹に一つ提案する。
「ねぇ、ボクのお願い聞いてくれたお礼に、夕飯作ってあげる。いいでしょ?」
「別に構わない……と言いたいところだが、無理だな。冷蔵庫見てみろ、空っぽだから」
和泉は首を傾げると、台所まで様子を見に行く。そして足音をどたばた立てながら戻ってくると、深刻な顔で告げた。
「虎徹先生! 何にもありません! 有り合わせのものでなんとか、なんてレベルじゃありません!」
「なんで唐突に先生呼びなんだよ……」
「だって、昼間の虎徹はいっぱいいろんな事知ってて先生みたいだったから。で、今日の夕飯、どうするの?」
「いや、その前に。お前いつまでここにいるつもりだ? 帰るつもりないだろ」