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女は抱かれて刀になる
第1章 始まりは金曜日
「帰るって、どこに? ボクと虎徹は恋人同士なんだから、ずっと一緒でいいじゃん」
「そうかそうか、で、いつ帰るんだ?」
二度訊ねれば、聡い和泉は虎徹の心情を察してうつむく。そして唇を突き出しながら、ぼそりと呟いた。
「……日曜まで。日曜日の夜までには、帰るから」
「日曜か。まあそれくらいなら、少しは贅沢させてもバチは当たらないな」
「え?」
和泉が顔を上げないうちに、虎徹は細い手を取り立ち上がる。目を丸くする和泉に、虎徹は不遜な笑みを見せた。
「恋人だって言うなら、食の好みは大事だな。晩飯の買い出し行くぞ、ついてこい」
「買い出しって……いいの?」
和泉は捨てられた子犬のような眼差しを向け、虎徹の手を握る。今まで散々我が儘を通してきたくせに、今さらしおらしくなる姿に、虎徹は下半身まで貫く衝動を覚えた。
「それとも、腹が減った事を忘れるまで抱き合うか? 別に俺はそれでもいい、むしろ大歓迎だが――」
「もう、何で今そういう事言うの! 虎徹なんてキライ!」
和泉がふくれてそっぽを向けば、虎徹は大声で笑う。そして有無を言わさず和泉を連れ出し、車へと乗せた。