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女は抱かれて刀になる
第1章 始まりは金曜日
虎徹が呆れて溜め息を吐いても、和泉の笑みは止まらない。虎徹の口の端も上がっている事に、気付いているからだ。
「ねぇ、虎徹はこんなバージンロードボクが歩いてたら、一緒に歩いてくれる?」
「一緒に歩くのは父親の役目だろ。俺は待ってる方がいい」
何気なく口にした一言だが、それは和やかな空気を一変させる。それまで笑っていた和泉がうつむき、膝の上に乗せた手を固く握って黙り込んでしまったのだ。
(おっと、今のは何かやばいもんに触れたみたいだな。待たされるのが嫌なのか、あるいは――)
虎徹は車を一度止めると、うつむく和泉の顎を取る。和泉は涙目で、いつ夕日に溶けてしまってもおかしくないような危うさを抱えていた。
「やっぱり訂正しておく。お前一人にするとうろちょろして危なそうだから、俺が捕まえに行く。どうせバージンロードなんて言っても、お前バージンじゃないだろ? 作法なんざ、多少間違っても許してくれるだろ」
「んっ……」
和泉に口付ければ、まなじりから一筋涙が零れる。食いしばり閉じていた唇をこじ開ければ、目覚めたばかりの性が甘い鳴き声を漏らす。