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女は抱かれて刀になる
第1章 始まりは金曜日
「じゃ、ちーと待ってろ。すぐ戻る」
軋む床の音と、虎徹の足音が遠ざかる。静かになると、視界が使い物にならない分、和泉の聴覚は自然と敏感になっていた。風でピシピシと鳴る、古い玄関の扉。和泉は見られる事ばかり気にしていたが、考えてみればこの扉に音を遮る機能などない。喘ぎ声を餌に、外から淫らな宴を想像する事だって出来るのだ。
小さな軋みが聞こえなくなる程、和泉の心臓は鼓動を早めていく。いつ誰が来るかも、どこかで聞き耳を立てているかも分からない暗闇の中、和泉は恐る恐る陰核へ手を伸ばした。
「あ……んっ!」
体を突き抜けるのは、昨日よりも鮮明な痺れ。車の中からずっと焦らされていた欲が、爆発するのはすぐだった。
「いい……気持ち、良い」
和泉は本能の赴くまま陰核を擦り、溢れる蜜を滴らせる。もし誰かが本当に玄関を開いてしまっても、言い逃れしようのない痴態を晒していた。
「イク……んんっ、あんっ!」
女の内から体中へ放射状に広がる享楽に、和泉は背を反らす。しかし、溜めたものが解放される、和泉がそう思った瞬間だった。
「なーに一人で楽しい事してんだ?」