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女は抱かれて刀になる
第2章 淫らで穏やかな土曜日
「ど、どうしたって、虎徹がどうしたの? 朝早いのにガンガンうるさいんだけど」
「ああ、これか。これは毎朝の筋トレだ。非力じゃ、刀は打てないからな」
「……近所迷惑」
「迷惑になるご近所さんがいないのは、昨日車で走って分かっただろ」
虎徹の言う通り、この家は山奥である。誰にも迷惑を掛けていないのは和泉も承知していたが、ふくれっ面で悪態をつかずにはいられなかったのだ。
「俺はもうちょっと筋トレしてるから、おにぎりでも作って待っててくれ。米は炊いてあるし、おにぎりなら塩だけでも食えるだろ」
「なんで、ボクがそんな事しなきゃいけないの」
どうにも刺々しい和泉に、虎徹は首を傾げ、槌を地面に下ろす。そして和泉の手を引くと、強引に唇を重ねた。
「んっ」
舌を差し込まれ、ためらいなくなぶられれば、互いに熱い息が漏れる。虎徹はしばらく堪能すると、とろけた和泉に囁いた。
「今俺達は恋人同士なんだろ? 頼んだぞ、和泉」
虎徹は最後に和泉の泣きぼくろを舐めると、槌を抱え丸太の方へ戻っていく。朝の日差しと清浄な空気に、虎徹はすぐに馴染んでしまう。乱されているのは、和泉一人だけのようだった。