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女は抱かれて刀になる
第2章 淫らで穏やかな土曜日
「い、言っておくけど、ほだされたからおにぎり作るんじゃないからね! 昨日お礼するって言ったし、ボクもお腹空いたから作るんだから!」
和泉は虎徹にそう叫ぶと、台所に向かい下がっていく。虎徹はその背中を見送りながら、また首を傾げた。
「朝から、変な奴だな」
筋トレを終え、家の中に戻っても、和泉はどこかつんけんしていた。しかし握られたおにぎりは綺麗な三角形で、和泉の性格が見て取れる。一口食べれば、塩だけのシンプルな味が身にしみた。
「ん、うまい。とはいえ、今日こそ本当に買い物行ってこないとな」
「虎徹が変な事しなきゃ、昨日行けたんだよ。ボク、おにぎり以外だってちゃんと作れるんだから」
「それは昼飯の時に頼む。一番近いスーパーが九時半開店だから、朝一で行くぞ」
虎徹は二口三口でおにぎりを平らげながら、時計を眺め思案する。すると和泉が、じとりと虎徹を睨み口を開いた。
「出掛けるのはいいけど、ボクの服は?」
「ん? ああ、汗やら何やらで汚しちまったからな。今洗濯機に放り込んでる。夕方までには乾くだろ」
「今、って……ちょっと待って、その言い方、乾燥機付きの洗濯機じゃないんだよね」