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女は抱かれて刀になる
第2章 淫らで穏やかな土曜日
「違う……俺の期待してたのは、こんなんじゃないってのに」
「ふーん、恥ずかしがって甘えた方がよかった?」
これ以上悪戯するつもりはないのか、和泉は肉のパックを手に取り吟味しながら訊ねる。
「ったく、大人をからかいやがって。今度来たら、本当に玩具突っ込んで歩かせてやる」
言葉遣いこそ悪いものの、虎徹の表情は柔らかい。そして和泉の頭をわしわしと撫で回した。
その後も虎徹は、たびたび挑発する和泉に振り回されながら買い物を続けていく。そしてあらかた済ませ、レジへ向かって歩いている最中、背後から、野太く無遠慮な声が響いた。
「あらぁー、てっちゃんじゃない! やだ、こんなところで会うなんて運命だわ!」
虎徹は振り向き声の主を確認すると、口の端を歪め白い目を向ける。和泉もその人物を見ると、放心し固まってしまった。
「やだ、その子なに!? てっちゃんの親戚の子? アタシという者がありながら女の子とデートなんて、浮気者!」
丸太のような腕と厚い胸板により、ピチピチになったTシャツ。長身の虎徹を凌ぐ体躯。そして、眩しいスキンヘッド。話し方は女だが、そこにいるのは声も見た目も立派な男だった。