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女は抱かれて刀になる
第2章 淫らで穏やかな土曜日
明らかな不審者を前にすると、流石に和泉も警戒し虎徹の背に隠れる。そして作務衣の裾を引っ張ると、虎徹に訊ねた。
「虎徹……もしかして今まで独り身だったのは、そういう趣味だったからなの?」
「断じて違う! 俺は女が大好きだ、生まれてこの方女以外に惚れた事はない!」
「あらてっちゃん、こんな往来で何言ってんのよ。あんまりうるさいと、逮捕しちゃうわよ」
「逮捕?」
和泉が首を傾げれば、謎の男は愛想良く笑い、和泉に手を差し出した。
「東警察署の鬼刑事・坂本吉行と言えばこのアタシ! てっちゃんの知り合いなら、何でも相談に乗るわよ」
「安心しろ和泉。こいつはちょっとオカマなだけで、普段は優秀な刑事で俺のダチだ」
「よ、よろしくお願いします……」
安全と言われても、和泉はなかなか警戒を解かない。虎徹へ見せる奔放さはどこへ消えたのか、吉行と名乗る刑事と握手しても、どこか不安げだった。
「あーあ、お前が脅かすから和泉が怯えちまってるだろ。初めての人間の前で、その本性出すなよ」
「休日くらい、アタシのやりたいようにやっててもいいじゃない。ね、和泉ちゃん?」