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女は抱かれて刀になる
第2章 淫らで穏やかな土曜日
 
 吉行が話を振っても、和泉は虎徹の陰に隠れるだけである。壁を作られてしまった吉行は苦笑いすると、手を合わせ頼み込んだ。

「驚かせちゃってごめんね。あのね、せっかくてっちゃんに会えたから、少しお話したいんだけど、いいかしら?」

「え? あの……」

「大丈夫、取って食ったりしないから」

 和泉がうろたえていると、虎徹は和泉に買い物かごと財布を渡す。そして溜め息を吐きながら、レジを指差した。

「悪いな和泉。会計済ませて、待っててくれ。すぐ戻る」

「でも……」

「ここから動かなきゃ、レジに並んでてもお互いが何してるかは見えるだろ。な?」

「……分かった」

 和泉はうつむき沈んだ声を上げると、一人でレジに向かう。吉行はその背中を眺めながら、ぽつりと呟いた。

「まったく……休日じゃなければ、本当に逮捕してるところよてっちゃん。てっちゃんが変態なのは知ってるけど、若い子を巻き込むのは感心しないわね」

「なんだ、よく分かったな」

「刑事の洞察力を嘗めないでちょうだい。まああの子も強要されている訳じゃないみたいだし、てっちゃんもあの子を大分信頼してるみたいだから、うるさくは言わないけどね」
 
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