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女は抱かれて刀になる
第2章 淫らで穏やかな土曜日
虎徹は一つ溜め息を漏らすと、ちょうど会計を終えた和泉の元へ向かう。すっかり不機嫌になっていた和泉は、声を掛けるより先に虎徹を小突いた。
「こんな重いの女の子に持たせて一人にするなんて、サイテー。ほら見て、ボクの腕疲れて震えてる」
「だから悪かったって。驚いたろ、あいつ良識はあるけど、常識は気にしないから」
「刑事……なんでしょ? 虎徹、ボクとの事バレたら捕まっちゃうよ。捕まったら社会復帰出来なくなって、ヤクザになるしかなくなるんだから」
「心配してくれてんのか?」
「心配なんてしてない!」
虎徹に向けて舌を出し、和泉は荒々しく品物を買い物袋に詰めていく。どうやって機嫌を直したものかと虎徹が悩んでいると、袋を突き出され睨まれた。
「もう帰ろ。あんまり人と話して、バレたら危ないし」
重いと言って突き出したにも関わらず、和泉は荷物を虎徹に押し付ける事なく軽々持って足早に歩き出す。口には出さないが、まるで何かから逃げているようだった。
(今は触れるべきじゃないな、こりゃ)
虎徹は和泉から袋を奪い取ると、片手でそれを持ち、もう片方の手で和泉と手を繋ぐ。先走らないよう一歩先を歩き、和泉をたしなめた。