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女は抱かれて刀になる
第2章 淫らで穏やかな土曜日
「なら俺も一つ訊くが、最初に会ったあの日、俺が『体を売るような真似はよせ、馬鹿は止めて家に帰れ』って言ったら従ったか?」
「それ、は……」
「絶対帰らないよな? じゃあ別の男を引っ掛けるだけだって、舌出して反抗しただろ」
図星なのか、和泉は目を逸らし黙り込む。虎徹はそんな和泉の頭を、安心させるよう撫でた。
「正直、お前の目的は全く分からねえよ。けど、痴漢に震えてるような奴が、援交だなんだって馬鹿な事をするとも思えねえ。何か、こうでもしなきゃどうしても収まらない事情があるんだろ」
「……ボクの事情、話さなきゃ、いけない?」
「うんにゃ、どっちでもいい。話して楽になるなら話せばいいし、余計に辛くなるなら黙ってろ。俺のやる事は、どっちみち一緒だ」
虎徹を見上げる和泉の泣きぼくろは、きっと全てを知っている。和泉が何に喜び、どんな事に泣いたのかを。それを少しでも感じたくて、虎徹はそこを指でなぞった。
「お前がいいと思うまで、ここにいろ。本当にヤバい奴に騙されて事件に巻き込まれるなら、俺の側にいた方がいいだろ。俺なら絶対バカはやらかさないって、俺が保証してやる」