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女は抱かれて刀になる
第3章 夕日の沈む日曜日
虎徹のもっともな反論に、和泉は口を尖らせじとりと睨む。
「じゃあなんでもいいから、なんか冷やしたい。虎徹、ちょっと行ってきてよ。ボクここで待ってるから」
「お前な……ここから店までどれくらいかかると思ってるんだ? 一人で待ってる間、冬眠明けの熊でも出たらどうする」
「んー……食べられちゃう?」
「じゃあ、今はこれで我慢しろ」
虎徹はどこに持っていたのか、飴を取り出すと和泉の口に放り込む。甘酸っぱいイチゴの味が広がると同時に、虎徹の舌も侵入してきた。
「んっ……」
「――甘い。ま、たまにゃ甘いのも悪くないな」
虎徹はすぐに身を離すと、深呼吸してしゃがむ。和泉が広い背中にのしかかっても、呑気な姿勢を崩す様子はなかった。
「鍛冶場ってやつは、刀匠にとっては神聖な場所なんだ。やましさや汚れを背負って入るなんてもってのほか。滝は、なんか浄化される気がするだろ? だから、しょっちゅうここに来るんだ」
「うん、その気持ち分かる気がする。全部綺麗になって、真っ白になれたらいいのに」
「お前は、初めからどこも汚れてないだろ。その……なんというか、綺麗だ」