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女は抱かれて刀になる
第1章 始まりは金曜日
少女の短絡的な発想に、虎徹は呆れて溜め息を漏らす。そして少女を小突くと、熱のこもった弁明を始めた。
「今時、日本刀を武器にしてるヤクザなんていないぞ。刀ってのは手入れに手間もかかるし、金の面から考えても武器として使うには割に合わねえ。俺が作ってるのは人殺しの武器じゃなくて、日本の伝統工芸品だ」
「じゃあ、ヤクザとは関係ないの?」
「むしろ警察にお友達の多い、善良な一般市民だ」
虎徹の説明を頷きながら聞いている少女は、年相応の純朴な顔をしている。そして納得すると同時に、虎徹の背中に手を伸ばし絡みついた。
「よかった、ヤクザだったらどうしようかと思ったよ」
「あのなぁ……」
「――だって、ヤクザは怖いもんね」
少女は虎徹が何か言うより早く、唇を奪う。だがそれは挨拶のように、ほんの一瞬で離れた。
「ボクは和泉。土方和泉。よろしくね、おじさん」
「おじさんじゃなくて、虎徹な」
虎徹は少女――和泉の後頭部を包み、改めてキスをする。挨拶ではなく、芯を掴むための口付けを。
「んっ……」
舌が侵入しても絡み付かない和泉は、キスの仕方を知らない少女だった。