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女は抱かれて刀になる
第3章 夕日の沈む日曜日
「そうやってすぐ変態発言する所はキライ」
和泉がそっぽを向くと、虎徹は肩をすくめ笑い声を上げる。そして連絡先を交換するとハンドルを改めて握り直し、和泉に尋ねた。
「家はどこだ? 送ってくぞ」
誤魔化しと偽りの恋人ごっこは、終わる。しかし共に過ごした時間は、偽りではない。月曜が来れば、また新しい人生が始まる。そう信じて、車は走り始めた。
和泉が語った住所には、暮らすにはなかなか値の張りそうなデザイナーズマンションが建っていた。
「ありがとう、虎徹」
ここで別れるつもりで、和泉は車を降りる。だが運転席から聞こえたドアの開く音に、目を丸くした。
「見送りは大丈夫だよ?」
「本当に大丈夫か? 外泊を叱られるなら、俺が一緒に行って適当な言い訳つけて謝ってやるぞ」
「ううん、大丈夫。お母さんは、ボクがどうなろうと心配なんてしないだろうから」
「和泉……」
虎徹は声を掛けようとするが、それは迫る足音に遮られる。
「おかえり、和泉」
落ち着きがあり、穏やかな男の声が響く。二人が顔を上げれば、そこには一人の男が立っていた。