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女は抱かれて刀になる
第3章 夕日の沈む日曜日
「家族同然、ですか……」
「ええ。今回のようにお泊まりなんて初めてでしたから、心配したんですよ」
すると和泉は虎徹の背中から顔を出し、菊へ刺々しく言葉を投げかける。
「休みの日に、恋人の家に泊まって何が悪いの? こうやって帰ってきたじゃん」
「恋人? この、近藤さんが?」
「そ、ラブラブで仲良しの恋人。ボクはもう虎徹のものだから」
「ああ、なるほど……そういう事ですか」
歳の離れた、身なりが決して良いとは言えない虎徹。だが菊はそんな男を恋人だと主張しても、驚きもせず、感心したように二、三度頷いた。
「和泉、お母さんも心配していますよ。早く戻って、顔を見せてあげなさいね」
和泉を叱るでもなく、菊はあっさりと引き返す。マンションの中ではなくそのまま歩道を去っていく姿を、和泉は拍子抜けしながら眺めていた。
「――和泉?」
「あ……うん。じゃあ虎徹、また明日ね」
和泉は軽く首を振り動揺を吹き飛ばすと、虎徹に手を振る。
「本当に大丈夫か? やっぱり、俺の家に戻っても」
「大丈夫、お母さんとも話したいし。駄目だって思ったら、連絡するから」