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女は抱かれて刀になる
第4章 若紫
真っ暗な部屋の中、和泉は裸のまま床に投げ出されていた。菊は己の欲をぶつけるだけぶつけて、すぐそこにあるベッドへ和泉を運ぶ事もしなかったようだ。
「痛……」
軋む体を起こせば、膣口からとぷりと白濁が溢れる。
(虎徹は、いつもボクを綺麗にしてくれたのにな)
汗と精にまみれた体を掻き抱き、和泉は膝を抱えた。だが、そのまま頭を下げ、暗闇へ閉じこもろうとしたその時。
「……?」
携帯の着信を知らせる赤い光の点滅が、目の隅に入る。習慣のままそれを確認してみると、そこには留守電が残されていた。
『和泉、今からそっちに行く。お前が出てくるまで家の前で張り込んでるからな。嫌でも必ず出てこい』
「虎徹……」
和泉は慌ててカーテンを開き、外を確認する。留守電が入っていたのは、今の時刻より大分前。だが見覚えのある車は、確かに止まっていた。
体を動かしたのは、理性ではなく本能だった。身支度など考える余裕もなく、適当に服を着て携帯を握り、部屋を飛び出す。マンションから駆け下りれば、会いたかった人物が車に寄りかかり待ち構えていた。