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女は抱かれて刀になる
第4章 若紫
「虎徹!」
虎徹は走ってきた和泉の手を取り、抱き寄せる。冷え切った心をしっかりと包む体温は、和泉に生きる力を思い出させた。
「和泉、すまなかった。お前をこんなところに帰しちまって、辛かっただろうに……」
「……ううん、虎徹が謝る事なんて何もないよ。それに虎徹は、ここに来てくれた」
「とにかく一度、俺の家に行こう。そこで話したい」
和泉は頷き、虎徹の車に乗り込む。思い描いた月曜日とは違っていたが、虎徹は今日も和泉のそばにいる。それだけが、今の和泉を歩かせる希望だった。
そして家へ戻ると、和泉は申し訳なさそうに虎徹へ頭を下げる。
「虎徹、いきなりで悪いんだけど、シャワー貸してもらっていいかな。ボク……汚いから」
「そんな遠慮した言い方するな。よし、シャワーだな? 行くぞ」
「行くって……え?」
虎徹は和泉を送り出すのではなく、自らも風呂場へ向かう。そして共に脱衣所まで入ると、和泉の服に手を掛けた。
「待って、今は虎徹に見られたくない! ホントに今汚いから、触らないで!」
「断る。そういや俺も風呂入ってなかったし、一緒に入った方が節約出来るだろ」