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女は抱かれて刀になる
第4章 若紫
 
「それとこれとは話が別だよ!」

「別じゃない。それにな、お前が自分を許せないように、俺も自分が許せないんだ。お前には何か事情があって、それは根の深い問題だって思ってたのに、結局何も出来なかった。それくらいしなきゃ気が済まない」

「だって、それはそもそもボクが話さなかったからじゃん。虎徹が責任感じる必要なんて全然ないよ」

「いや、話さなくても察してやらなきゃならない事だったんだ。本当に、すまなかった」

 止まらない庇い合いに決着を着けたのは、虎徹の方だった。手のひらにボディシャンプーを出すと、向かい合った和泉の背にそれを塗る。そして素手でそれを泡立てながら、体を洗っていく。

「俺を責める気がないなら、お前も自分を責めるな。少しばっかり他の男に触られたくらいで、お前を手放したりするかよ」

「……その言葉。菊さんも似たような事言ってた」

 和泉の呟きに、虎徹は心臓が跳ねる。だが和泉は一筋の涙を流すと、虎徹に縋りついた。

「なんでだろうね、同じような言葉なのに、虎徹に言われるとすごく嬉しいよ」

 和泉は虎徹の首に腕を絡め、唇を重ねる。二人は言葉よりも強く、淫らに心を交わした。
 
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