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女は抱かれて刀になる
第4章 若紫
 
「そうでなければ、どうしていつまでも僕がこんな所に出入りするんですか。和泉、あなたは僕に愛されるためだけに存在する人間なんですよ」

 まるで包装を剥がすかのように、菊は和泉の服を脱がせていく。突然の凶行に、和泉は混乱し手足を振り上げた。







「――逃げられたのは、菊さんがボクを侮ってたからだと思う。偶然膝が菊さんのみぞおちに入って、その隙にボクは家を飛び出したんだ。一晩さまよって、適当な電車に飛び乗って……」

「そこで会ったのが、痴漢と俺だったのか」

「菊さんがあんな事したのは、ボクが処女で珍しいからだと思った。誰かに奪ってもらえば価値がなくなって、元に戻れるかなって……それで、虎徹を誘ったの」

 コーヒーを飲めば、広がるのは生温い味。熱さを失ったコーヒーは不味く、和泉は眉をひそめた。

「バカみたいだよね。菊さんの執着って、そんなものじゃなかった。二度目は変な薬まで使って、ボクを、無理矢理……」

「もういい、よく話してくれたな。本当に……すまなかった」

「虎徹が謝る必要なんてないよ、ボクが話さなかったんだから。ボク、今こうして虎徹が一緒にいてくれるの、嬉しいんだよ」
 
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