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改訂版◆散る華如く
第1章 すべての出逢い
「えっと、『菊屋』は・・・この辺り、なのかしら・・・」

しをなは出来上がったばかりの着物を包んだ風呂敷を抱え

藍に書いてもらった地図を見てひとりごちた。

「早く済ませて帰らないと・・・きゃっ!!」

地図を見ながら歩いていると、誰かにぶつかり

彼女はしりもちをついた。

「ごめん・・・あんた、大丈夫?」

ぶつかった人物に手を差し伸べられ、立ち上がる。

そのひとは、くるくる跳ねた短い黒髪に

漆黒の瞳をもつ、洋装姿の男だった。

「ぁ・・・すみません、ありがとうございます。」

しをなが謝ると、彼は困ったように笑って

「いや、いいよ。俺も前見てなかったし。」

と言う。

「―そういえばあんた、どこに向かうつもり?」

「え?菊屋に、仕立て終わった着物を・・・」

「俺はそこの傾城だから、一緒に行こう?」

「でも、そんな・・・悪いです。」

「俺はもう用は終わってるし。それに、あんた一人だと、どんな奴が寄ってくるか分からない。」

「ありがとうございます、えっと・・・」

「俺は杏沙(あずさ)、あんたは・・・?」

「しをな、です。」

「じゃあしをな、行こう。」

「はい・・・」

二人は菊屋へと急いだ。
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