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Dolls…
第1章 出会い
「あ、はい…」

いくら山に近づいてるとは言えこの辺にはまだ民家がある。

今話しかけて来たこの女性はこの辺に住んでる人かな?

パッと見30代ぐらいの落ち着いた感じの女性。



山を見上げながら動けないでいる私を見て不審に思ったのかも…。


「ちょっと、あの山のてっぺんに用が…」

「そう。悪いことは言わないからあの屋敷にだけは近寄っちゃダメよ」

「え?」


その女性の声に更に背筋が凍った。

その声も表情も真剣そのものだったから。


「ど、どうしてですか…?」

すると、女性は山のてっぺんの屋敷を見上げながら教えてくれた。

「あの屋敷には変な男が住みついてるの。人形ばかりを集めて人形に囲まれて。不審な大きなトラックが出入りしてることも多々あるの」

男が、住みついてる…?

梓の話では無人って聞いたけど、人が住んでたんだ。

「その大きなトラックで死体を運んでるって噂もあるわ」

「し、死体!?」


死体…?

死体って、そんなまさか…。

火サスじゃあるまいし、そんな物騒な…。

でも、地元の人が言ってるぐらいだし、相当ヤバイ場所であることに間違いなさそうだ。


「そ、そんな…、ただの噂ですよ、ね…?」

「あなたはこの辺の人じゃないんでしょ?信じないのも無理はないけど、でもあの屋敷にだけは近寄っちゃダメよ!」


それだけを固く言い残し、女性は家路を急いでしまった。

「あ、あの…っ」


その話を聞いた私の足は、まるで根が張ったみたいに動けなくなってしまった。



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