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Dolls…
第1章 出会い
ど、どうしよう…。
梓の話しと少しの違いはあったけど、危ない場所に変わりはなさそうだ。
それに、あの女性も言ってた『人形』。
ふっと屋敷を見上げる。
さっきまで好奇心に刈られていた胸の高鳴りが一気に消え失せてしまった。
素敵に見えたあの洋館も何だか不気味に見える。
こんなことしてる間にも時間は経つし日も落ちてくる。
ど、どうしよう…、本当にどうしよう…。
ここまで来たのに、外壁すら見ずに撤退するのか…?
でも、死体を運び出してるなんて噂が立つぐらいだし、もしかしたらヤバイ人が住んでるのかも…。
それこそ、全国レベルの指名手配犯とか…?
殺人を繰り返すシリアルキラーとか…?
「………っ」
嫌な汗が背中と頬を伝う。
心臓が再び高鳴り出した。
東京の美大に行きたいと、少ない荷物と東京行きのチケットだけを握り上京したあの度胸はどうした?
右も左もわからないこの都会で1人でやって行くと決めたあの覚悟はどうしたの?
根も葉もない噂を鵜呑みにしてここまで来て諦めるの?
私はスケッチブックに描くと決めたんだ。
この目で見たものしか信じないっ!
私は自転車にまたがり暗くなる前にと、山までの残りの道のりを急ぐことにした。
キャンバスやスケッチブックに描けるものしか信じないんだ。