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Dolls…
第7章 瞳の中の過去
「は、あぁ…っ」

「馬鹿なことを言わなけりゃ、痛い目に合わずに済んだのに…」



馬鹿な、こと…?


ボーッとする頭で記憶を巻き戻しさっきの出来事を呼び覚ました。

椎葉さんが言う、私がした馬鹿なこと。

…それは、どう考えても奈々さんの事しか思い浮かばなかった。



私が奈々さんを綺麗だと誉めたこと。

人形のモデルなら奈々さんの方が適していると言ったこと。

私が言ったこの台詞で椎葉さんは怒ってるみたいだけど、理由がわからない。




「は…んっ、だって…」

「あ?」



私は…、そんなに酷いことを言ったのだろうか?

椎葉さんをここまで怒らせてしまうことを言ってしまったのだろうか?

だって、あんな綺麗な人を目の当たりにすれば誰だって…


「奈々さんの、方が…、綺麗だし、スタイルもい、いいし…」

俯きながら震える声で必死に訴えた。

あんな綺麗な人を目の当たりにすれば、誰だって自分に劣等感を感じずにはいられなくなる。

神様は不公平だと。

けれど、いるかどうかもわからない神様より

私をモデルにと選んだ椎葉さんの方が充分可笑しい気もする。


「あの人の、ほ、方が…、すごく…」

またこんなこと言って、椎葉さんに苛められるかも知れないのに。


でも、本当に…

遠目だったけど、それでもハッキリと認識出来た。

奈々さんの美しさや繊細さが。




「あー…そう言えば、奈々よりお前の方が最高のモデルだって理由、まだ言ってなかったか?」

「え…?」

涙が滲んだせいで視界がボヤけてる、が

ボヤける視界で見た椎葉さんの表情は、先程よりも遥かに口角を緩ませて不敵な笑みを見せていた。


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