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Dolls…
第7章 瞳の中の過去
疲れ果て息を整えるぐらいの力しか残ってなく、頭上で縛られている腕も血液の流れがストップしてしまい感覚すらなくなっていた。

それでも、私の頭の中はめちゃくちゃ。

椎葉さんのあの台詞が頭にこびりついて取れない…。


「先にシャワー使え」

そう言って、自身のズボンのポケットから小さな鍵を取り出すと、私の腕を縛っていた手錠を外してくれた。

「うっ」

手錠が外れた瞬間、私の腕は力なくダランッと椅子に落ちてきて、腕の血管に一気に血液が巡るのを感じた。

…何だか、気持ち悪い。

それに、シャワーを使えって言われても今はまだ動けない。

だけど、行為が終わった後に感じる地下の冷気。

汗をかいた素肌にこの冷気はとてつもなく寒い。


そんな私をよそに椎葉さんはさっさと衣類を正しているが…

「どうした?」

いつまでも椅子から動けないでいる私を見て椎葉さんが不思議そうに尋ねてきた。

「ほっといて、下さい…」

腰が砕けたみたいに下半身に力が入らなくて、その事を知られてしまうのが何だか恥ずかしかった。

「…そのままだと風邪が振り返すぞ?」

…どの口がそんな事を言うんだか。

こうなったのも全部椎葉さんのせいじゃない。

そう怒鳴り散らせたらすっきりするのに、今は疲れ切ってて大声すらまともに出せない。



……奈々さんより私をモデルに選んだ理由は、納得しがたい理由だった。

一体、あれはどういう意味だったんだろ?

自分を愛してくれる女性に興味がないなんて、どういう意味?

考えれば考えるほど頭の中がぐちゃぐちゃになって行く。



「おい、椿?」



ぐったりとした私に話しかけて来るが…

今は椎葉さんの質問に答える力も残ってないし、無視するしかない。



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