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Dolls…
第7章 瞳の中の過去
コンクリートが打ち付けてあるだけのこの地下室。

病み上がりの体の私じゃなくてもここの気温は寒い。

なのに、何で…?


「あの…、これ…」

「動きすぎて暑い。お前が着てろ。お前の服は今洗ってる」



暑いって…。

だったら余計に上は着てないと、汗が乾いて風邪をひいてしまう。

「わ、私なら全然…」

起き上がってカッターシャツを椎葉さんに返そうとするが…、まだ足に力が入らない。

おまけに立ち上がろうとすると軽い目眩までしてる。

「病み上がりの病人が何言ってんだ?」

「だって…っ」



すると、椎葉さんは私からカッターシャツを受け取る事なく部屋のドアを開けて先に地下室から出て行こうとしていた。

私をこの拷問部屋に残して…。

「ちょっ、待っ…っ」

こんな不気味な部屋に取り残されるのは嫌だ。

さっきは恥ずかしさで"ほっといて"なんて言っちゃったけど、動けない今、椎葉さんが出ていったら私はここに1人だ。



慌てる私をよそに、椎葉さんは



「心配するな。隣のスタジオにいるから。いろいろ大丈夫になったら自分で歩け」

「━━━━━っ!!」

ニヤッと笑いドアを開けるとそのまま出て行ってしまった。

ドアを開けっぱなしにしたまま。

ドアが開け放たれたままなので、隣の部屋の灯りがこの部屋にまで差し込んで来てる。

確か隣は、この間私にドレスを着せて写真撮影をしたスタジオだ。




椎葉さんは、気づいてる…。

私が立てない事も、今は椎葉さんの顔をマトモに見れない事も。

だから、私が自力で立てるようなり心の準備が出来てから出て来れるように隣のスタジオに行ってくれたんだ。



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