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Dolls…
第8章 古傷



私には、関係ない…。



「そう、ですね…。本当にそう…」



私には関係ない。

その言葉が、私の胸を締め付けた。



何で…?

少し怒られただけなのに、どうしてこんなに心が泣きそうになってるの?



「椎葉さんが、何を見てようが私には関係ないです…」

「おい…っ」



私はこの人にとってはただの人形のモデル。

私の意思など聞かずに奪い、弄び、ムリヤリにここに止まらせてる。

初めから、私の考えや意思なんてこの人に取って邪魔な代物だ。

私の意思などこの人には関係ないと、最初からわかってたことなのに


心臓が、張り裂けそうなほどに痛い。



「部屋に、戻ります…」

「おい、そのままじゃ…」

「シャワーは後で借ります…」



風邪が振り返すとか、汗が乾いて気持ち悪いとか髪の毛がぐちゃぐちゃとか、そんな事はもうどうでもよかった。

椎葉さんと、顔を合わせなきゃよかった…。



「椿…っ」



━━━━━━━━バタンッ





椎葉さんのカッターシャツを着たまま、私はスタジオを飛び出した。

こんな張り裂けそうな心臓を抱えたまま1分1秒だって椎葉さんのそばにいたくなかった。

…いられなかった。








「…………くっそ!」















「はぁ…、はぁ…」

まだ完全に感覚が戻らない足で必死に階段を登った。

地上に近づくに連れて肌に感じてた空気もだんだん暖かくなって行く。

が、何故か心はどうしようもなく冷えきっていた。








何で…?

何であんな言葉1つでこんなに胸が痛むの…?

どんな時だって散々自分で自分に言い聞かせて来たじゃない。

"私には関係ない"って、自分自身でそう言い聞かせて来たのに

椎葉さんの口から出たその言葉が刃物みたいに心臓に突き刺さったままで痛い。


椎葉さんの口から出ただけなのに、それだけなのに…っ。









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