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Dolls…
第8章 古傷

「あ…っ、えっと…」

"あなたは?"なんて声をかけられたけど、逆に言えばこの人こそ誰だ?

ここは椎葉さんの屋敷で、こんなふうにここに上がり込んでるって事は椎葉さんに関係ある人なのかな?

外部から来た人に変わりはないけど、助けを求める事は出来ない。

さっきの人形業者さんの件で懲りてる。

助けを求めても椎葉さんに手を回された協力者って事も有り得る。



その女性は綺麗な真っ白のワンピースに身を包みまるで涼しげな風のような出で立ちで私の目の前に立っている。

一方の私はと言うと、あのまま地下を飛び出して来たせいで、髪もメイクもぐちゃぐちゃ。

身に纏っているのは男物のカッターシャツ1枚で、病人みたいにふらふらの足取り。

不審者以外の何者でもない。


「あ、あの…、私は…」


私は…、一応椎葉さんの人形作りのモデルとしてこの屋敷に止まらされてる人間。

…なんて、この女性に説明していいものか。



オロオロと説明に困る私だが…

よくよくその女性をしっかり見てみると



何だか、見覚えがある女性だった。




「失礼。日本語は苦手なのかしら?」

その女性はゆっくりと私に近づいてきた。

ゆっくり、ゆっくりと…、ヒールをコツコツと鳴らしながら。




壁にもたれながらその女性から目を離せないでいたが

その女性は、よく見ると…




「あ…」

私のすぐ目の前に立ったその女性。



綺麗な茶髪の巻き髪に、細身の体。

間近で見ると、肌は雪のように白くて

椎葉さんに負けず劣らずな人形のような顔立ち。


その美しさに一瞬、息を飲んでしまうほど。




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