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Dolls…
第9章 腕の中の宝物
そのくすぐったさに身を捩りそうになりながら体勢を変えようとしたが

いつしか椎葉さんの腕は、私の体を抱き締めるように包み込んでしまっていた。

椎葉さんの体の全てで押さえつけられてしまい私の体はとうとう身動き1つ取れない状態になってしまったのだ。


「は、離して…っ!」

しかし、自由になった腕でどれだけ抵抗しても所詮は女の力だ。

あんなに鍛え上げた椎葉さんの力に敵うはずがない。


「やだね。それにお前は俺のモデルなんだから、お前を観察して何が悪い?」

「ふ…っ」

「今にもイキそうな声出してんじゃねぇよ」


顔を横に向けた状態で抱き締められて、体は固定されたようなものだ。

耳元で低く唸るように話す椎葉さんの吐息が耳に触れ続ける。

「そ、こで…、喋らないで…っ。くすぐったいです…っ」

吐息を感じる度に抱き締められてる体が小刻みに震える。

恐怖なのか、くすぐったくて身悶えてるのか、自分でもわからない。

混乱してたはずの頭の中が今度は真っ白になって何も考えられなくなってる。

「くすぐったい?本当にそれだけか?」







頭が、ボーッとする…。

ただでさえ椎葉さんのあの台詞が頭から離れなくて、混乱して

今は椎葉さんの顔すら見れない状態なのに、こんな事されたら…っ。




「は……、ぁ…っ」

悔しい。

色んな道具で攻められ続けたのに、会話の息遣いにまで反応してしまってる自分の体が恨めしい。

いつものように荒々しく攻め立てるんじゃなく、じわじわと、残酷な方法で私を追い詰めて行く。

私をからかい、翻弄してる。

悔しい━━━━━……っ!




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