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Dolls…
第2章 運命
「お前が目覚める間に見させてもらった。遠目からのデッサンがいくつかあったが?」

「あの…、それは…」




実は、梓や周りの人から変わり者扱いされたくなくて隠していたが…

窓から見えるこの屋敷を日々スケッチブックに書き記していたのだ。

上京して、借りたハイツの窓から見えたこの屋敷をいつも描いていた。

窓辺に腰掛けながら、山の頂上に聳えるこの屋敷を。

そして、いつしかこの屋敷を間近で見たいと思うようになっていたのだ。




って、主であるこの人に言うのも恥ずかしいし、ストーカーとか思われたらどうしよう。

何も言えずに口ごもっていると…




「まぁ、いい。怪しいものじゃないなら用はない。手荒な事をしたな。もうここへは近寄るな」

そう言ってスケッチブックを片手に私の方へと歩いて来た男。

あ、縄を解いてくれるのかな…。



「あの…、本当にすいま━━━━━━」

ベッドのそばまで歩み寄った時だ。

男性の顔がハッキリ見えた。

「あ…っ」



一筋の月の灯りに照らされた男の顔…。



「人、形…?」

「……何?」






思わず口を付いた「人形」という一言。

その男の顔は、先程のフランス人形のように整った目鼻立ちにくっきりとした二重。

そう、まるで人形のような顔をしていたのだ。



この人が、人形屋敷の主…?

本当に人形みたいな綺麗な顔。




「俺が人形に見えたのか?」

「え…?…あっ!?」


幻想的な月灯りに照らされその顔に見とれていたが、男のその一言でハッと我に帰った。

私、今…、すっごい失礼な事を…っ。



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