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Dolls…
第13章 暖かな腕の中


……椎葉さんはわざと言ってる。

私の今の状態は風邪なんかじゃない。

風邪じゃないのだから風邪薬なんて無意味なのに…。

壁に寄りかかりながら椎葉さんを見上げてキッと睨み返した。



が━━━━

「どうした?歩けないなら俺が手伝ってやろうか?━━━━━」
「え…?きゃあぁぁ…っ!!」



そう思った瞬間、突然、私の体がふわりと宙に浮いた。

それは本当にいきなり、私の背中に羽根でも映えたかのように…、私の足は地上から完全に離れた。

何が起こったのか考えようとしたが…





ヴィィィィィンッ…

「くっ、…っ」

頭が…、回らない…。




椎葉さんは私の体を持ち上げお姫様抱っこでシュウちゃんの元へと運んでいく。

私は…、自分の体に起こっている異変に耐えるべく無意識のうちに椎葉さんの首に腕を回していた。

「あ…、あの…っ」

シュウちゃんは、目の前で起こった事態に呆気に取られている。

そりゃそうだ。

女性をいきなりお姫様抱っこなんて、ハリウッド映画さながら、椎葉さんにしか出来ない芸当。


ポカンとするシュウちゃんの隣の席、私の体はゆっくりと下ろされて行く。

「椎葉さ…、待って…」

「修也君が待ち兼ねてる。さっさと席につけ」

シュウちゃんを待たせてることはわかってる。

空腹だろうし、早く席に付かなきゃいけないこともわかってる。


だけど…



ヴィィィィィィィィィン…




私の体内からは小さな振動音が流れ続けたままだ。

「んぅ…っ」

私を席に座らせると、椎葉さんも自分の席へと腰を下ろした。

これで、シュウちゃんも安心して食事が出来る、だろうけど…












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