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Dolls…
第13章 暖かな腕の中
私を食卓へと運んでくれた時同様、椎葉さんが私の体を持ち上げていたのだ。

お姫様抱っこの形で。



…無理をさせたって、これは全部椎葉さんのせいじゃない。



本当はそう言い返したいが、今は目の前にシュウちゃんがいるし、そんな力も気力ももう体のどこを探したって見つからない。

今はただ、椎葉さんの腕の中で大人しく全てを委ねるしかなかった。

「だったら、俺も行きます!椿が心配ですし…」

椎葉さんに合わせるように立ち上がるシュウちゃん。

…だけど、シュウちゃんに来られたら不味い。

バレてしまう…。



「心配いらない。椿を部屋のベッドに送るだけだ。修也君は食事を続けてくれ」

「ですが…っ」



屋敷の主人が不在なのに、自分だけ食事を楽しむわけにもいかないだ。

それに、シュウちゃんは私の心配で頭がいっぱいでとてもじゃないが食事所ではないのだろう。

顔にそう書いてある。


「体調不良の女性の部屋に入るのは少々失礼過ぎないか?」

「あ、それは…、そりゃ…っ」

ニコリと笑いそう告げる椎葉さんにシュウちゃんはグゥの音も出ないと言った表情。

シュウちゃんは、本当に私の体の心配をしてくれてるだけなのに。



椎葉さんの腕の中でシュウちゃんにせめてお礼を言いたいのに、お礼を言う言葉すら出せない。

と言うより、今口を開いたらずっと我慢してた声が一気に溢れてしまいそうで…

シュウちゃんに全てがバレてしまいそうで怖かった。


お礼を言いたいのに…、椎葉さんの腕の中で口を抑えながら声を我慢するしか出来ないなんて…っ。



「心配するな。椿を部屋に送り届けたらすぐ戻る」



そう言って、椎葉さんは私の体を抱きながらダイニングを後にした。






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