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Dolls…
第13章 暖かな腕の中
だけど、ダイニングを後にする時に
私を抱き上げる椎葉さんの肩越しから薄く開いた瞳で見たのは、シュウちゃんの顔。
私の事を心配してくれてるかのような、シュウちゃんの真剣な表情だった。
その表情を見た瞬間、声にならない心の声で、何度も何度もシュウちゃんに謝った。
シュウちゃんは本気で私の事を心配して、田舎からこんな山奥の不気味な屋敷に、雨の中をたった1人で探しに来てくれたのに…。
有休を使ったって言ってたけど、本当ならもっと別の事に使いたかったはずなのに…。
こんな私の為に…。
こんな、最低な幼馴染みの為に、ここまで来てくれたのに…。
椎葉さんの腕の中、歩く振動に揺られながら
シュウちゃんへの自責の念にかられている。
流れ落ちそうな涙はシュウちゃんの事を思ってのはずなのに
「……ま、お前にしてはよく我慢したな。上出来」
小さく囁く椎葉さんの声が、私の罪悪感を掻き消して行った。