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Dolls…
第2章 運命


私の顔のそばから男の気配がなくなった。

と、次の瞬間、パッと部屋の灯りが付けられたのだ。



「あ…っ」



急に付けられた部屋の灯り。

暗闇に慣れてたせいか室内灯程度の明るさでも目が眩んだ。

目を細目ながら何とかその灯りに慣れようとゆっくり目を凝らして室内へと視線を戻すと…


「━━━━━っ!!」


慣れた視界に飛び込んで来たのは…







広い室内、いろんな所に飾られてある無数の人形。

その数、およそ数十体。

どれもこれも高そうなフランス人形で中にはケースに入れられ大事に保管されてるものまであった。

棚の上や、ソファの上。

表情や衣装や髪型、全て違う人形達。




こ、これが、人形屋敷の正体?

こんなに無数の人形が…っ。





その異様な光景に背筋が凍った。

明るい室内とは言えこの光景は不気味そのものだった。

あまりの衝撃に悲鳴すら出ない。


見渡す限り人形しか見当たらない。


「あの、こ、これは…っ」

男の方に目をやると


「ここにあるのは全て俺の作品だ。2つとして同じものはない」


男は私の隣に立っていたが…。

人形に目線を向けるその男の横顔は、先程暗闇の中で見たときよりも格段に美しさを増していた。

真っ黒な髪にヘーゼル色の瞳。

見れば見るほど人形みたいだ。

さっきは暗かったからわからなかったけど、結構若い人なんだ。

20代後半か30代前半か…。



「聞いてんのか…?」

「…あ、はいっ!」


ヤバッ、また見とれちゃってた。

っていうか、今「俺の作品」とか言ってなかった?




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