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Dolls…
第13章 暖かな腕の中
「あああっ!!あんっ!」
「あー…、あの幼馴染み、ダイニングに待たせっぱなしだ…。随分仲が良さそうだな?あっ?"シュウちゃん、シュウちゃん"って、ベタベタと…」
椎葉さんの声が鼓膜に届く。
だけど、その内容はダイニングに置いてきたシュウちゃんの事。
私が聞きたいのはシュウちゃんの事じゃない。
私の質問の答えになってない。
「だ、めぇ…。だめぇぇぇ…っ!いやぁぁぁぁっ!!」
「俺にはあんな表情は見せねぇ癖に…。あんな嬉しそうな表情…っ、ふざけんな…っ」
「あぁんっ!イク…っ、も、やだぁっ!これ以上、イ、イキたくな…っ、あぁぁぁっ!!」
椎葉さんの腕に押さえつけられながら、その腕の中でジタバタと暴れたが椎葉さんの腕はビクともしない。
ただ、椎葉さんの腕の中で押し寄せる快楽の波に耐え続けるしかなかった。
椎葉さんは、私には何も話してはくれない。
椎葉さんの全てを私は知らないまま。
奈々さんの事も、作業部屋のあの写真の女性も、私は何1つ知らない。
だけど
こんな酷いことばかり仕掛けてくる、悪魔のようなこの人の事を
知りたいと、思う私も相当可笑しい。
「あ━━━━━━━━━っ!!」
私は椎葉さんにとって、ただのモデル。
ただの人形のモデルで
椎葉さんの欲を受け止めるだけの器に過ぎないのだから。
そして、情事に夢中になっている私達は
この時、全く気づけていなかった。
洞察力の優れた椎葉さんですら見落としてしまっていた。
この部屋のドアの向こうの気配。
そこに佇む人影に。