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Dolls…
第2章 運命
でも、この男性の目は本気だ。

私がどんなに嫌がっても、拒絶してもやめてはくれない。

「お願い…、私は…」

「……お前」

知らず知らずのうちに目には涙が溜まっていて今にも溢れ出しそうになっていた。

キスの経験ならある。

それなり彼氏がいたこともある。


だけど、絵に夢中だった私は彼氏を大事に出来ず尽くフラれて来た。

そんな状態で私はキスから先の経験がない。

キスの先に行く前に別れて来たのだから。

だから…、私は…。



「お前、まさか…」

「…………………。」


だから、美大に行くまで恋はしないと決めてた。

美大に合格して自分の道を見つけるまで恋は二の次だと。

でも、いつかやって来る「初めて」は心から愛する人と決めていた。

なのに、こんな人に…。



「ふっ、これは都合がいいな。いい作品が作れそうだ」

「な、何を…っ」


すると、男性はズボンのポケットから黒い何かを取り出した。

見るとそれは黒く細長い布。

「な、何、それ…」

「ちょっとした小細工。怖くねぇよ」

「や、何を…やだっ!!」


その布を私の頭に巻き付けたかと思うと、私の視界は一気に遮られてしまった。

「やだっ!!何これ…っ」

「見りゃわかるだろ?目隠しだ…って、もう見えねぇか」

め、目隠し…。

何でこんなもの…っ。


視界が一気に真っ暗になったせいか先程にも増して恐怖が支配する。

怖い…、視界が遮られただけでこんなに怖いなんて…。

「や…、やめ…っ」

恐怖で体が震える…。

さっきとは違って声も出ないし、思うように体が動かない。


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