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Dolls…
第21章 あなたが教えてくれた
もし、椎葉さんが引き止めてくれなかったら私は安藤さんとこの屋敷を去ることになる。

椎葉さんと離れ離れになる、そう考えただけでたまらなく怖い。

まるで見えない闇の中に真っ逆さまに堕ちていくような気がした。



安藤さんは私と奈々さんを重ねて見てるだけだ。

私が必要なんじゃなくて、ただ奈々さんを手離してしまった後悔と罪悪感。

それで、奈々さんと似た状況にある私を何とかしてくれようとしてるだけ。

もしくは、椎葉さんへの復讐…、なのかも知れない。



私は奈々さんじゃないし、奈々さんにもなれない。


例えどんなに冷たくされても椎葉さんの元を去ることなんて出来ない。



冷たくされても、酷くされてもいいから私は椎葉さんの傍を離れたくない。



今度こそこの屋敷から逃げ出し楽になれるチャンスだったかも知れない。

多分、これが本当のラストチャンスだと思う。

でも、私はまたそのチャンスを手離そうとしてる。

こんなチャンスはもう2度と巡って来ないかも知れないと言うのに…。



明日の夜、安藤さんにちゃんと断ろう。

私は私の意思でここに残る、と。

例えこれが、実らぬ永遠の片想いでも…。




と、決心が固まろうしたその時だ。





━━━━━コンコンッ





部屋のドアをノックする音が聞こえた。

「はい?」

こんな時間に誰だろう…?

時計はないが恐らくもうすぐ夜中だ。

こんな時間に部屋をノックする人物なんて…。


私は頭の中でぼんやりと"安藤さんかな?"と思っていた。

お好み焼きのお皿を取りに来てくれたのだろうと思っていた。


「開いてます。どうぞ」


結局、半分以上残しちゃった…。

せっかく作ってくれたのに…、ちゃんと謝らなきゃ…。


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