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Dolls…
第21章 あなたが教えてくれた
「ほとんど食ってねぇみたいだけど、体調でも悪いのか?」

テーブルの上に置かれたお好み焼きを見て椎葉さんがそう呟く。

私の方を見ずに…。

「……別に」

半分以上残されているお好み焼き。


誰のせいで食欲不振になったと思ってるんだ?

椎葉さんがあんな事を言ったからだ。

だけど、そんな事口が裂けても言えない。

椎葉さんの事を思って食欲がなくなったなんて…。


私の方を一切見ない椎葉さん。

それはまるで、体全てで私を拒絶してるみたいで何だか辛い。


そんな私の気持ちなど気づかずに椎葉さんは食べ残したお好み焼きの皿を持つとさっさと部屋を出て行こうとしてる。

私の方を見ずに背中を向けて私の前から立ち去ろうとしている。

「…さっさと寝ろ」


素っ気ないその一言だけを残して…。



「あ…っ」

椎葉さん…、それだけ?

椎葉さん、本当に私の事なんてもう何とも思ってないの?

素っ気ないそんな一言だけを残して、意図も簡単に出て行ってしまうの?

いつもの椎葉さんなら私の方を見て悪態の1つでもついてたのに、私の方を見ずに出て行こうとしてる。

私なんて見えてないかみたいに…。


出て行こうとするその背中がやけに遠く感じた。

それはまるで、私の知らない誰かみたい。



嫌…。

行かないで…。

椎葉さん、もう1回私を見て…。

椎葉さん…っ。

椎葉さん…っ!




「し、椎葉さん…っ」

ドアノブに手をかけ部屋から出て行こうとする椎葉さんの背中に向かって名前を叫んだ。

心の声が漏れたみたいに…

私の声が椎葉さんの耳に届いたのか部屋を出て行こうとした椎葉さんの体がぴたりと止まった。

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