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Dolls…
第22章 遠い街角
でも、マンションなんて響きも田舎育ちの私からすれば羨ましいというか、高級感の溢れるもの。

私の田舎にはそんなものなかった。

つくづく、私は田舎者で東京には向いてないと思い知らされる。


タクシーに揺られて安藤さんが言った曲がり角を曲がると、そこに高級住宅がたくさん建ち並んでいたが

「そこの白色のマンションの前で停めて下さい」

「はい」


そうこうしてる間にタクシーはゆっくりと停車。

どうやら安藤さんの住むマンションに到着したみたいだ。

窓から見える豪邸に見とれながら視線を反らして安藤さんのマンションを見てみようと、安藤さん側の窓から外を見てみると

「こ、ここですか…?安藤さんのマンションって…」

「そうだよ。運転手さん、おいくらですか?」

安藤さんが精算を済ましてる間も私の目線は窓から見えるマンションに釘付けになっていた。


そのマンションは、軽く10階以上はありそうなほど大きくて、正面玄関なんてたくさんの照明でキラキラと輝いている。

所謂オートロック式のようだった。

門構えも立派だし、私のアパートの部屋なんてここのエントランスにすっぽり入ってしまいそうなほどだ。

あまりの豪華さに口をあんぐりと開けていると

「ありがとうございました~。お忘れものには注意して下さいね」

と、後部席のドアが開かれた。

「ほら、行こう」

先に降りた安藤さんがにこりと微笑みながら私に手を差し伸べてくれている。

行こう…、って、言われても…。

だけど、ここまで来て引き返すなんて出来ないし、椎葉さんから離れるために安藤さんの手を取ったのだから。


「……あ、ありがとうございます」


差し伸べられた安藤さんの手の上に自分の手を重ねた。

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