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Dolls…
第23章 危険な香り
「そう。玄関に置いとくね」

安藤さんはニコニコしながらパンプスとスニーカーを玄関に持って行ってくれた。





けど、私今、何て最悪なことを考えてたんだろう。

自分の身勝手さに吐き気がした。

安藤さんは椎葉さんの親友だ。

いくら椎葉さんを忘れられず苦しいからってその痛みを安藤さんで誤魔化そうとした。

…最低だ。

これじゃ、助けてくれた安藤さんにも失礼だ。





「よしっ!あとは服と…、下着はさすがに椿ちゃんが…」

「安藤さん、すいません…」




私はどこまで勝手なんだろう。

どこまで安藤さんや椎葉さんの掌で甘え続けるんだろう。


「い、いや…、別に謝ることじゃ…。椿ちゃんの下着を俺が買いに行く訳には…」

「そうじゃないんです…、ただ、ごめんなさい…」

下着とか、そんな事を言ってるんじゃない。

私が謝ってるのは安藤さんを利用して椎葉さんを忘れようとしたことだ。

「あ…、もしかしてあのデザイン嫌だった?返品しようか?」

「違…、ごめ、ごめんなさい…」


安藤さんが椎葉さんの屋敷にやって来たとき、安藤さんを使って椎葉さんの事を探ろうとして

今またこうして安藤さんに甘えて椎葉さんを忘れようとした。

そんな企みを口に出来るはずもなく、自分の身勝手さにゾッとして

ただひたすら安藤さんに謝り続けた。

何の事かわからずポカンとする安藤さんをよそに罪悪感に押し潰されそうになりながらも必死に謝罪を繰り返した。

"私は最低だ"と。







椎葉さん…。

私はまだこんなにも椎葉さんが好き…。

椎葉さんの事なんてすぐに忘れられるとタカをくくってはいたけど

まだこんなにも忘れられず椎葉さんとの思い出は鮮明なままに記憶の中に残ってる。

きっと、これからも一生…。










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