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Dolls…
第1章 出会い
大都会の真ん中に位置する会社を出て、大通りを歩き、住宅街に入ろうとした時だ。
ふっと、前方に見える小さな山。
その山の頂上付近に見える建物…。
「あっ。ところで梓。前から思ってたんだけど」
「ん?何?」
「あの建物は何?」
「え?」
前方の山を指差した。
その指差す方向に建物は1つしかないのだ。
梓も多分わかってくれてるだろう。
私の指差す方へと視線を向けた。
「ほら。あの山のてっぺんに見えるお城みたいな建物」
この住宅地を抜けると、そこはもう大きな山々が聳える。
その山のてっぺんに一際目立つ大きな建物が見えてるのだ。
まるで中世のヨーロッパにタイムスリップしたかのようなお城。
いつも仕事の帰り道に見えているあの建物がどうしても気になっていた。
ここからじゃちゃんと見えないけどかなり大きな建物っぽいなぁ。
「あー、あれは人形屋敷」
「人形屋敷っ!?」
人形屋敷っ!?って、何それ。
何だか響き的に不気味。
「うん。詳しくは知らないけど、あの家には人間に捨てられた人形達が暮らしてるって噂だよ。マネキンとか市松人形とか」
「な、何それ…?ホラーじゃん…。無人ってこと?」
「椿は引っ越して間もないから知らないだろうけど、この辺りで流行ってる都市伝説みたいなもん。でも、実際にあの屋敷には無数の人形が飾られてあるって話」
怪談話や都市伝説の類いか…。
でも怪談話や都市伝説も突き詰めて考えたら科学的に解明出来る事ばかりだ。
この世にお化けや幽霊なんているわけがない。
あの建物もどこかの人形フェチの大金持ちが別荘にするつもりで買ってそのまま放置してるだけかも知れないし。