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Dolls…
第25章 最後の真実
「尚人の野郎っ!…ぶっ殺す!!」

私の体を覆い隠すように抱き締めてくれる椎葉さんの手が微かに震えている。

だけど、腕の中の暖かさだけは確かだった。




…これも、夢?

私を抱き締める椎葉さんの手の感触も、震える手も、この暖かさも全部夢?幻?

違う…、夢なんかじゃない。

これは、今私を抱き締めてるこの腕は本物だ。

この手の震えも、この腕の中の感触も温もりも夢じゃなくて現実。

今、私の目の前にいるのは…、椎葉さん。

本物の椎葉さんだ。




「し、椎葉さ…っ。椎葉さん…っ!椎葉さんっ!!」




現実だと実感した瞬間、堪えていた恐怖が一気に溶けて、安心から瞳からは大粒の涙がボロボロと溢れ落ちた。

椎葉さんの腕の暖かさや柔らかさ。

ふわりと香る椎葉さんの香り。

私の名前を呼ぶ椎葉さんの声。

懐かしい…、全てがあの時のままだ。

何年も離れてたわけじゃないのに、胸が締め付けられるほど懐かしい。




しかし、感動の再会は束の間だけだった。

椎葉さんの腕の中の暖かさを感じていると…。





「秋人、何でお前がここにいる?」

背後から聞こえてきた安藤さんの声。

そうだった、ここは安藤さんのマンションだった。

そしてここは安藤さんの部屋で、私は今まさに安藤さんのものにされようとしていたのだ。


椎葉さんの肩越しに安藤さんの姿が見えた。

椎葉さんに殴られた頬が真っ赤に腫れていて、私と椎葉さんの様子を憎々しいと言わんばかりに睨み付けながら。


「それはこっちの台詞だ。椿に何をした?」

しかし、そんな威圧感を吹き飛ばすほどに椎葉さんの声には怒りが感じられた。






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