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Dolls…
第4章 瞳の奥
昨日と同じ、まるで鋭い刃に突き刺されたようなこの感覚。

「ふっ、ん」


いや…っ、いくら見とれたからってあんな事、もうされたくないっ。

こんな奴に何度も何度も…っ!

今度こそ突き刺してやるっ、そう思ってフォークを握ってる手を振りかざそうとしたが


━━━━━っ!!


その手は振りかざす前に男の手に寄って制止された。

手首をギュッと掴まれて…

「んっ」

「まだ抵抗する気か?」

掴まれた腕が痛くて、思わず手からフォークが溢れ落ちた。



至近距離で見つめた男の目が綺麗すぎて、言葉を失う。

まるで猛毒に侵されたみたいに、体の芯から溶けて行く。

私の体、どこかおかしい…。




「こんなベッドの上じゃ面白味に欠ける。今日は少し趣向を変えてみるか?」



唇が数ミリ離れた隙間から聞こえた男の声。

男の吐息が唇に触れて、背筋がゾクッと逆立った。



…趣向?

これ以上、私に何をする気…?



「私を…、どうする気…?」

「大人しくしてれば恐い思いはさせない」

「………………。」




昨日まではこの男から逃げることで頭がいっぱいだった。

けど、今はただ大人しくしてる方が賢明だと思った。

下手に抵抗したら本当に殺されるかも知れない。

いくら綺麗な顔をしてるからって人形作りの為なら平気で昨夜のような酷いことが出来る人間なのだから。


「さて、行こうか」

「…………っ!」


男の体と唇が私から離れた瞬間、先程までの猛毒のような効力はなくなった。

頭が冴えだす。

……この男の元から逃げなくちゃ。

今は黙って言うことを聞いてなくちゃ。



エスコートするかのように私に手を差し出す男を睨みながら、私の心は脱出のチャンスが来るのを必死に願っていた。










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