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Dolls…
第4章 瞳の奥
その後、私を縛っていた縄を緩めゆっくりと私の体を地上に戻して行く。
身体中に巻き付いた縄を全て解かれ自由にはなれたが…。
「うっ、ひっく…」
その場に座り込んだままの状態でただただ泣き続けた。
溢れる涙を堪えることが出来なかった。
どうして…、私がこんな目に…。
泣き続ける私を見ながら、椎葉さんは…。
「その表情もいいが、昨晩に比べるとやや色気に欠ける」
私を見下ろしながら尚もそんな台詞を吐き続ける。
この期に及んで、この人の頭の中には人形のことしか頭にないようだ。
「最、低…っ」
まるで拷問のようにこんなことをして…。
私の気持ちなんか無視して…っ。
私の目の前で仁王立ちになる椎葉さんをキッと睨み付けたが
「うん。その目の方がいい」
「……………っ!」
椎葉さんは私の動きや表情全てを喜んでいるようだった。
……何を言っても無駄なのだ。
「人をこんなところに閉じ込めて…、こんな事まで…っ!あなたはおかしいですっ!」
昨晩はショックのあまり頭が回らなかったが、今ならハッキリわかる。
この人はマトモじゃない。
マトモな人間ならこんなことしない。
シリアルキラーに殺される方がまだマシに思えた。
「何を今更。こんな山奥にこもって人形ばかり作ってる俺がマトモに見えたのか?」
「…………っ!」
「そんな格好じゃ風邪を引く。備え付けのシャワーでも使ってさっさと着替えろ。服なら用意しとく。俺はこいつを現像しないといけないんで」
そう言うと、ニヤッと笑った椎葉さんはカメラを持って部屋から出て行ってしまった。