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Dolls…
第1章 出会い
「はぁ…」
帰宅してリビングの机に座り込んだ。
私は今、2LDKの小さなハイツで一人暮らしをしている。
都会の賃貸って何でこんなに家賃が高いんだろうか…。
仕事を終えて今から自炊なんて面倒臭いけど、お腹空いたし。
部屋中に所狭しと置かれてるキャンバスや画材用具、スケッチブックや絵の具。
それを眺めながら溜め息をつく。
今はこうして仕事して生活費を稼いで生活してるけど、生活するだけで精一杯だ。
美大に入るとなると学費も稼がなきゃいけないし、入学金だって馬鹿にならない。
貯金だってままならないのに。
それに、美大を卒業したからって絵で食べて行ける人なんてほんの一握りの人だけ。
才能を持ってる人だけだ。
あんなに夢中だった絵すら、本当は最近自信を失いかけていたのだ。
窓から見える東京の夕暮れ。
真っ赤に染まる空を見ていると、妙に悲しい気持ちになった。
私はこの街で何がしたかったのだろう。
大きな口を叩いた割りにはこうして道に迷ってるのだから。
すると…
《~♪♪~♪~~♪》
「あ…」
鞄の中に入れて置いた携帯が鳴り響いた。
鞄から携帯を取り出し通話ボタンを押すと…
「もしもし」
『もしもしー、椿ー?俺だけど、元気にやってんのか~?』
「…何だ、シュウちゃんか」
『は?何だ、とは何だよっ!』
電話の相手は、私の地元に住んでいる幼馴染みの修也。
平 修也-たいら しゅうや-だ。